第1421号
2013年2月28日発行
ヘルパーの日々――藤原るか
異常な暑さにヘルパーも命がけ
今年の異常な暑さは高齢者にとっては命がけの日々。また、行方しれずの超高齢者の多さに愕然とさせられる毎日で「オランダの新聞でも一面で報道されている」と海外に住む友人からメールが届く事態です。
ヘルパー仲間も「熱中症」で点滴を受けながら訪問する状態で、在宅現場はまさに命がけです。
今日は、応答のないYさん宅(一人暮らし八十代)を緊急訪問。Yさんは、精神の病気と糖尿病からくる歩行困難のため買い物や掃除などの家事が出来ません。
家の中は箪笥の端などにつかまりながらやっとですが歩けるので、介護保険では「要支援二」の判定でヘルパーの訪問が始まったばかりでした。
「お金を払って近所の人に来てもらっていたのよ」とヘルパーの訪問で不安が少なくなったと喜んでいました。
訪問の日はチャイムや事務所から電話を鳴らしても応答がなく、連日の猛暑で「熱中症」で倒れているのではないか?との予想もあり、緊急度が高いとの判断から、警察や保健所に連絡を入れての臨時の訪問です。
三人で玄関や雨戸を叩いた結果、「薬が効きすぎて起きられなかった」とフラフラでしたが、なんとか玄関に出て来ました。すぐに病院で点滴をしてもらい「間一髪」で命拾いをしました。
水分・栄養・睡眠・室温の調整が「熱中症」との闘いではとても大切です。しかし、在宅現場ではクーラーが付いている高齢者宅はまだ少なく、あっても「もったいなくって、お客様にしか使わない」という人もいます。今までの暑さでは、ご本人の価値観に合わせての対応で良かったのですが、今年の暑さは異常なので、温度計などで実際の室温(三〇度を超えている事が多い)で納得してもらったり、新聞記事を見せたり、テレビやラジオのニュースの時に話題にするなどのタイミングを見はからった援助が求められています。「使い方が分からない」という人には、「最近の機械はむずかしいんですよね。一緒に説明書を勉強しましょう」とクーラーの使用方法を短時間の訪問の中で説明をしています。
ヘルパーの訪問がある方やご近所との繋がりがある方は、Yさんのように「間一髪」で助かる場合もありますが、すでに二百名に迫る方々が亡くなるという事態です。
身近な所で被害者を出さないよう「お水をたっぷりとっておくと良いですよ」と近所で声を掛け合ってこの夏を乗り切りましょう。
(共に介護を学びあい・励ましあいネットワーク)