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第1316号

2009年11月20日(金曜日)発行

こんにちは
音楽は戦争のない世界でこそ


チェロ奏者
高木 雄司さん

今年の「婦民コンサート」は、十二月二十日、全国教育文化会館(エデュカス東京)で開かれます。ご出演くださるチェリストの高木雄司さんのお話をききました。

高木さんは東京生まれ初めてチェロを手にしたのは十一歳の時でした。「父がオペラ歌手だったんですよ。息子に何か音楽をやらせたいと思ったのでしょうね。友人に、今からやってプロになれるのは何かってきいたらしいんです」

その答えがチェロ。遊ぶのが大好き。幼稚園のころピアノをちょっと習っただけでやめてしまったという高木さんの、これがチェロ事始めでした。

故小沢弘氏に師事。東京芸術大学附属高等学校を経て東京芸術大学に入学、一九六七年、同大学卒業、読売新人賞を受賞して日本フィルハーモニー交響楽団に入団と順調な経過をたどりますが、高木さんがチェロの演奏家を目指そうと心にきめたのは、大学受験の頃だったといいます。

日本フィルには輝かしい闘いの歴史があります。一九七二年、経営者のフジテレビ、文化放送が日本フィルの運営資金を打ち切ると通告、オーケストラ財団を解散、全楽員解雇という暴挙が行なわれました。

日本を代表するオーケストラの日本フィルで、団員たちは低収入の上に無権利。ようやく労働組合を結成したのは解雇通告の前年のこと。不当解雇との闘いは十二年に及びました。高木さんは四十年間、日本フィルに在団しましたが、その約三分の一がこの闘いの渦中にあったわけです。

争議は裁判所の和解勧告という形で勝利のうちに終わりましたが、「それはからいものでしたねぇ」と高木さん。でも人と人とのつながりという大きな財産ができました。財団法人日本フィルハーモニー交響楽団が設立され、「市民と歩むオーケストラ」として新たに出発、高木さんはその中で二十年間、首席奏者を務めました。

二〇〇六年九月に退団、今は、独奏、室内楽、アマチュア演奏家の指導などで広く活躍中。

高木さんはコンサートの最後に必ず「鳥の歌」(カタルーニャ民謡)を弾きます。「私たちの先輩のカザルス(高名なチェロ奏者)は、音楽を愛し、戦争に反対して『鳥の歌』を弾きました。その意志を引きつぎたいという思いがあります」

コンサートでは楽しい語りも聞けそうです。

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