第1257号
2008年1月20日(日曜日)発行
七味
三分の二
新テロ対策特別措置法が一月十一日、成立しました。国会の会期を二度延長し、参院が否決した法案を衆院が三分の二以上の賛成で再可決して成立させたのです。憲法第五十九条には「法律案の議決、衆議院の優越」としてこのことを定めています
▼第五十九条の三項には、両院が異なった議決をした場合は、「両院の協議会」を開くことも定めています。数の力で強行せず話し合いを求めているのです。「三分の二以上」が使われたのはこれが二回目で、一回目は五十七年前の一九五一年、モーターボート競争法でした
▼モーターボート競争法と新テロ特措法。「三分の二」条項は、ろくでもない法律を強引に通す時に発動されるという印象を持ってしまいました。福田首相は「国会はねじれ現象で世界のスピードに合った運営ができない」といいますが、自衛隊の米艦船への給油には国民の半数以上が反対です
▼アフガニスタンのカルザイ大統領はタリバンを含む武装勢力とも交渉を進め、「平和と和解のプロセス」に努力しています。新テロ特措法は一年の時限立法ですが、油をもらった米軍艦載機が、アフガニスタンやイラクを空爆するのは明らかで、この一年でどれほど市民が殺されることか
▼憲法違反の海外派兵が、憲法を使って強行成立させられるとは無念でなりません。このうえ自衛隊海外派兵恒久法など絶対に許しません。