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第1226号

2007年2月10日(土曜日)発行

東京都協の「新春のつどい」

百合子の「戦争と平和」

文芸評論家・澤田章子さん 吉田万三さん

婦民東京都支部協議会では一月二十九日、千代田区飯田橋の消費生活総合センターで恒例の「新春のつどい」を開催しました。

都協代表の植木和子さんのあいさつ、角江一子さんの語り「あほ六の川太鼓」につづいて、東京都知事選の革新候補、吉田万三さんのあいさつ。吉田さんは昨年十月、正式に立候補を表明して以来三か月、精力的に都内を走りまわって政策を訴えています。二期八年の石原都政が福祉・くらしを切り捨てて無駄な大型開発につぎこみ、全国にさきがけて公共サービスを有料化する一方、自身はたびたび公金で豪華な海外旅行をするなどの都政私物化を、痛烈・ユーモラスに批判、「選挙の年の一番バッターとして東京から風向きを変えたい」と支持・協力を訴えました。知事選の投票日は四月八日、首都の恥ずべき首長を追放して吉田万三知事の誕生をと万雷の拍手で送り出しました。

午後からは文芸評論家の澤田章子さんの「宮本百合子の『戦争と平和』」。澤田さんは大田支部所属の婦民会員ですが、昨年十月に亡くなられたお母様もかつての婦民会員、その形見の着物を着ての講演でした。

澤田さんは、トルストイの『戦争と平和』にちなんで、彼の「非戦」思想の影響を受けた百合子の、戦争についての見方を、その作品の中から紹介しました。

『伸子』の中では、十九歳の伸子が父と共に行ったニューヨークで、第一次大戦の終結を異様なお祭り騒ぎで歓迎するブロードウェイの大群衆を見て「血なまぐさい殺人仕事は、これで永久に終わったのだろうか」と思う。また「戦争はどんなに永くたって激しくたって一時的の嵐だもの、私たちはもっと眼を先につけてやって行くべきだと思う」といっています。また『道標』では、パリのメトロで激戦地だったヴェルダンに行き、果てしなく林立する戦死者の白い十字架を見て「フランスのために死せり」とあるけれど、フランスのだれのためか、フランスの政治はひとにぎりの銀行の重役に支配されているのに、人生は生きるためにあるのに、と思う。そして「百万人の失業者、権力に抵抗してたたかっている人々」のいる「日本の苦悩に愛着して」三年すごしたモスクワから帰国します。

『播州平野』その他の作品にもふれて、澤田さんは百合子のすぐれた文学、不屈の生き方に学びながら、現在の「日本の苦悩」に立ち向かっていきましょうと結びました。この日の参加は九十人でした。

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