第1220号
2006年11月30日(木曜日)発行
宮城女性九条の会の講演会
憲法は平和の羅針盤
講演する山形孝夫先生
宮城女性九条の会の発足一周年記念の講演会が十月七日、戦災復興記念館で開かれ、約百人が参加しました。同会代表の一人、一戸葉子さん(婦民会長)が経過報告と今後の活動として公募で作った独自のポスターを貼り出す運動を提案。宮城裕子さんのピアノ演奏と山形孝夫さん(宮城学院女子大学名誉教授)の講演がありました。
山形さんは「グローバルな時代の戦争と平和―宗教は何をしてきたか」と題して次のようにのべました。
「私の専門の宗教人類学では宗教を一つの文化現象としてとらえている。これまでの宗教戦争はカトリックを中心にしたキリスト教同士の戦争で、それが現代の民族紛争まで尾を引いている。ニューヨークの同時多発テロ後のブッシュ大統領によるアフガン、イラクへの攻撃も、テロリストは悪で、それと戦う者は神の戦士という神の名による暴力の正当化だ。人々を悪魔から救おうとしている時、それに逆らう者を殺すのは慈悲であり、残虐行為ではないという理屈。そして軍事大国が勝ち組、非核保有国は負け犬という力の構図が定着していき、国の貧富の格差が拡大し、各地に敵意が肥大化しつつある。こうした中で宗教は傷ついた人々に癒しを与えるが、ナショナリズム(国家主義・民族主義)にも点火し、負け組の怒りを燃え上がらせる。宗教が暴力に走ろうとする時代に、私たちが望むのは非暴力の原理。どのようにゆれても常に平和を指しつづける羅針盤として、日本国憲法第九条を保持しつづけることに、人類の希望を見る。知恵と勇気と連帯で九条を守ろう。最後にマルティン・ルーサ・キング牧師の言葉を紹介したい。『本当の悲劇は独裁者の暴挙ではなく、善良な人の沈黙である』」