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第1191号

2006年1月20日(金曜日)発行

本のおばさん
秘密の部屋の生きた社会科

 これはスウェーデンの本です。懸賞文学作品の当選作だということです。訳者の川上邦夫さんはスウェーデンで地方自治を研究されることになり、小学一年の息子さんを一年間スウェーデンの小学校に学ばせた体験をお持ちです。氏の著作『あなた自身の社会―スウェーデンの中学教科書』(新評論)掲載の詩が皇太子殿下に感動され、テレビでも流され有名になりました。


新評論 シェシュティン・ガヴァンデル作 川上邦夫訳

 『エヴァ先生のふしぎな授業』はスウェーデンの小学五年生十一万人全員に無料で配布され使われているということです。

 題のようにふしぎな授業≠ェ展開されます。

 普通は準備室として利用される教室の隣りの部屋を、エヴァ先生担任の五年生は使ってはいけないというのです。後でわかることですが、その部屋には先生の息子さんが住んでいたのです。でも、このことはずっと秘密です。またこの組に割り当てられた教室は、とても変わっています。普通の教室にあるものなどが全然なくて、「これはへんだなあ…」といわれてしまうものでした。けれどエヴァ先生はこの教室が気に入っているといいます。それに生徒は二十四人でなければいけないというのです。

 授業が始まってみるとエヴァ先生は、大半の子どもたちにとっていい先生です。授業の中に旅行というのがあって、それは絶対に一人ずつでなければいけません。先生に鍵をわたされ一人で中に入ります。それまで準備室と思われていた部屋は大変身し、案内人もついています。旅行をすることになった子どもは、二行ほどの文章を覚えておいて間違えずにいわなくてはいけません。みんな真剣に覚えます。

 一人で入ることを恐がる子どももいますが、希望者は次々に出てきて、デンマーク・ノルウェー・ドイツ・フランス・イタリア・スペイン…とヨーロッパの国々を巡ります。帰ってくるとそれぞれが旅行の様子を報告します。ドイツではヒトラーのことが出てきたり、ノルウェーはEUに入っていませんなど現代の問題も語られます。

 これはまさに生きた社会科の本です。

新井竹子(親子読書地域文庫全国連絡会副代表)

草の根から平和の声をと訴え
核廃絶へ新しい署名

 こごえるような冬の曇り空のもと、核兵器廃絶と被爆者援護などを訴える今年初めての「6・9行動」が、一月六日、東京・上野公園前で行なわれました。特にこの日は、日本原水協の提唱で今年一月一日から開始された新しい国際署名「すみやかな核兵器の廃絶のために」への協力を呼びかける署名行動のスタートの日ともなりました。


東京・上野公園前で「6・9行動」

  新署名は、国連・核保有国をはじめ、すべての政府に対し、核兵器全面禁止・廃絶の国際協定の実現に向けて、すみやかな協議開始を求めるものです。核兵器廃絶を求める諸国政府と力を合わせ、草の根から米国などの核に固執する勢力を包囲し、核廃絶のより広い世論を世界でつくりだすために提唱されました。

  この日の行動には、日本原水協、東京原水協、上野東照宮境内に「広島・長崎の火」を永遠に灯す会など十七団体から五十二人が参加。婦民からも三名が駆けつけました。

  「今年こそ核兵器のない世界へ確実な一歩を踏み出す年にしたいですね。そのためには、この新しい署名をたくさんの人たちに広めなければ」と豊田かほるさん(品川支部)は、力をこめて語っていました。

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