主張・見解
「定額働かせ放題」への動きを許すな
婦民新聞第1830号(2026年5月30日号)より
5月13日、厚生労働省労働政策審議会分科会で裁量労働制の拡大が議論されました。
裁量労働制は、「労働者に働く時間帯、労働時間や働く場所の裁量を与え、自由で多様な働き方を可能にする」という名目のもと導入され、適用範囲は徐々に広げられてきました。労働基準法の1日8時間、週40時間というルールに縛られないで、実際に働いた時間にかかわらず「みなし時間」を働いたものとする制度です。「専門業務型」(1987年導入)と「企画業務型」(98年導入)があり、業務の性格上、厳密な労働時間規制がしにくいとされる専門的で特殊な一部業務に限定されてきましたが、政府はこれをもっと多くの業務に広げようとしています。
裁量労働制のデメリットは公立学校現場を見れば明らかです。小中高等学校の先生たちは裁量労働制対象ではありませんが、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等特別措置法)により、残業代を払わない代わりに給料の4%が調整額として支給される裁量労働的働き方です。実際には定時に終われず、持ち帰り仕事をする実態があり、教員の休職や離職が頻発、学校現場の疲弊や慢性的な教員不足をもたらしています。
一般企業でも、納期や取引先との関係、人員不足や成果重視の環境下で、残業は日常茶飯事、「裁量」などとても行使できない状況が容易に想像できます。
人件費を抑えて企業が大儲けする一方、労働者は際限なく働かされ、過労死・過労自殺につながる危険がある「定額働かせ放題」を許してはなりません。

