主張・見解
生活保護制度の拡充を一刻も早く
婦民新聞第1811号(2025年09月30日号)より
今年6月27日に最高裁判所が、2013年からの生活保護費引き下げは、「生活保護法に違反する」との画期的な判断を示しました。
粘り強いたたかいの成果です。
裁判原告と「いのちのとりで裁判全国アクション」は厚労省に向けて、国の謝罪とさかのぼっての差額支給を求めていますが、いまだに実施されていません。
それどころか、厚生労働省は、「最高裁判決への対応に関する専門委員会」を省内に強行設置するという異常な対応に出ています。
しかも専門委員会の結論時期は未定という無責任なものです。
大幅な引き下げにより、生活扶助費は6.5%の減額が長期間続いた上に物価高や異常な暑さなどで、生活はいっそう困難を極めています。
1000人の裁判原告のうち232人が判決を待たずに他界しました。
さぞ無念だったことと察します。もはや一刻の猶予もありません。
速やかな謝罪と是正を求めます。
生活保護受給者の55%が65歳以上の高齢者であり、生活保護支給額は単身で10万円余です。他方、単身高齢者の国民年金は4〜5万円でしかありません。
この事実から、「生活保護受給者は優遇されている」「年金受給者のほうが苦しいのに不公平だ」などのバッシングが巷に流されていることも看過できません。
国は、最高裁判決に従い一日も早く是正を図り、被害の補償をするとともに、誰もが安心して暮らせるように、今こそ物価高に対応した保護基準の大幅引き上げなど生活保護制度の拡充に踏み出すべきです。