主張・見解
性別役割分業が前提の税制等を見直そう
婦民新聞第1786号(2024年12月10日)より
3つの「年収の壁」見直しが問題になっています。「103万円」(夫に扶養されているパート女性は150万円)とは、所得税の課税最低限度額で、これを超えると夫や親の扶養から外れ、夫や親の手取りが減少します。
さらに「106万円」または「130万円」を超えると社会保険料の負担が発生し、手取りが減少します。
このことから、より低い所得に就業調整している非正規雇用労働者の82%が女性です。
働く女性は年々増加し、7割が共働き家庭で、女性の53%が非正規雇用です。
しかし、ジェンダー施策の際だった立ち後れにより、税と社会保障の制度は、性別役割分業に基づく世帯単位で設計されたままです。
このような労働抑制的な政策や制度の下では、女性の就労にブレーキがかかります。
男女賃金格差が是正されず、低賃金に据え置かれることで、女性がより深刻な貧困問題に直面し、それはまた女性の低年金問題に直結します。
根本的な解決のためには、労働促進的なジェンダー平等の制度への全面的転換が必要です。
最低賃金を大幅に引き上げ、非正規雇用から正規雇用への流れを作ることにより、男女賃金格差を解消して、女性の自立できる賃金を保障し、担税力を上げることが重要です。
また税と社会保障の制度を世帯単位から個人単位に改め、第3号被保険者制度や配偶者控除・配偶者手当などは廃止すべきです。
女性が一人の人間として自立し、自由に働けるような制度をめざしましょう。