主張・見解
膨大な軍事費を削減し、くらし優先の予算に
婦民新聞第1779号(2024年9月20日号)より
2025年度予算案の概算要求で、防衛省は8兆5389億円の軍事費を盛り込み過去最大となりました。
岸田政権は、安保3文書の一つ「防衛力整備計画」で、23年度から5年間で43兆円、27年度にはGDP比2%をめざすもとでの異常な大軍拡です。
長射程ミサイルの開発費や取得費等に9700億円を計上し、専守防衛をも投げ捨て先制攻撃も辞さないとする政府の姿勢が露わになっています。
また自衛隊の各部隊を一元的に指揮する次世代「自動警戒管制システム」も整備するとし、米軍システムとの連携により米軍の戦略の一部に組み込まれる危険もあります。
高額兵器を購入する費用を複数年度に分割して支払う後年度負担(軍事ローン)が総額15兆7489億円にのぼることも分かりました。
この3年間で3倍となり、軍事費膨張の大きな要因となっています。
後年度負担は、次年度以降の軍事費に計上され、原則5年以内に支払われます。
政府は憲法に基づく「予算の単年度主義」をとっていますが、これらは例外扱いとされています。
25年度概算要求では軍事費総額のうち初めて半分以上を占めました。
防衛装備庁の研究所で行われる先端軍事技術開発にも252億円を盛り込んでおり、民間研究者を軍事動員することを狙っています。
また防衛省で23年度に使い切れなかった「不用額」は約1300億円もありました。
平和外交により軍事費を減らし、予算は社会保障、教育など国民のくらし優先に切り替えることが必要です。