主張・見解
米不足の緊急対策と併せて抜本対策を
婦民新聞第1778号(2024年9月10日号)より
スーパーのお米の棚は空っぽです。
代わりにパックご飯やレトルトがゆなどが並んでいます。
坂本哲志農林水産大臣は会見で「9月に新米が出回るので特別な手立ては取らない」(8月27日)と表明し、国民の窮状に目を背けています。
農水省の発表では、今年6月末の民間在庫は前年比41万トン減で、過去最低です。
品不足を反映して、業者間の取引価格は前年の2倍近くに高騰しています。
この要因として農水省は、昨年の猛暑による不作、コロナ後のインバウンド回復による米の需要増、小麦価格の高騰による需要増などをあげています。
今回の事態を引き起こした原因は、米の需給と価格の安定に責任を持とうとしない自民党の農政にあります。
政府は「需要に応じた生産」の名目で、米の消費が減ることを前提に、生産量の削減を農家に押し付け、需給と価格は市場任せにしてきました。
2021年はコロナ禍で、米の消費が減り、在庫がだぶつき、生産者米価が大暴落しました。
さらに政府は、米が過剰だからと年間20万トン以上の減産を押し付け、在庫を減らしてきました。
その結果が今年の米不足と価格高騰につながりました。
政府は自給率向上放棄の農政を転換し、備蓄米の放出など、速やかに米の需給と価格安定の方策を取るべきです。
また将来にわたって米の安定供給を確保するためには、価格保障や所得補償などで農家が安心して米作りに励める条件を、国の責任で整えることが不可欠です。