主張・見解
国際会議宣言(要旨)
婦民新聞第1777号(2024年8月20日・30日合併号)より
79年前、米軍によって広島と長崎に投下された原子爆弾は、人類が体験したことのない地獄をもたらした。
被爆者たちは、「生きているうちに核兵器廃絶を」と渾身の力で立ち上がっている。
被爆地に集った私たちは、「核兵器のない平和で公正な世界」へと流れを転換していくために、ともに行動することをよびかける。
私たちは今、核破局の「瀬戸際」ともいえる状況にある。ロシアの核兵器による威嚇、アメリカなど核兵器国の先制核使用政策、NATO諸国からは核兵器の配備や「核抑止力」の拡大・強化を求める声があがり、東アジアでも緊張と対立が続いている。
今こそ、この危機をのりこえる展望を示し行動をおこすときである。
「希望の光」は核兵器禁止条約である。署名国は93、批准国は70へと広がり、禁止条約とそれを支える世論と運動が、その使用を許さぬ壁となっている。
被害者への支援、汚染された地域の環境修復など、具体的な活動も始まっている。
「核抑止」とは、いざとなればヒロシマ・ナガサキを再現するとの脅しであり、国連憲章への重大な違反である。
禁止条約の第3回締約国会議では「核抑止」論の克服が重要議題となる。
市民社会はこれに積極的に貢献していかなければならない。
禁止条約は核不拡散条約(NPT)を補完するものであり、NPTの義務、再検討会議での核兵器廃絶の「明確な約束」等の合意の誠実な履行を強く求める。
米政権はアジアとNATOとの連携など、軍事同盟のグローバルな危険を高めている。
緊張の火種は外交と対話によって解決されなければならない。
非核地帯条約を結ぶ東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に、東アジア首脳会議を活用したASEANインド太平洋構想や、ラテン・アメリカ、アフリカなど、南半球には非核と包摂のたしかな流れがある。
市民社会と諸国政府、政府間地域組織との共同で、これらを全世界で発展させていくことが求められる。
唯一の戦争被爆国である日本が、すみやかに核兵器禁止条約に参加することを求める。
岸田政権はアメリカの求めに応じて大軍拡をすすめたうえに、日米軍事同盟の歴史的な大変質を行った。
我々は、戦争放棄の憲法を持つ国にふさわしい行動をとることを、政府に求める日本の運動に連帯し、アジアの反核平和運動の連帯と共同をいっそう強化する。
2025年の被爆80年にむけて、核兵器廃絶を求める壮大な運動を展開しよう。
2024年8月4日
原水爆禁止世界大会・国際会議