主張・見解
生活困窮者の生きる権利とくらしの保障を
婦民新聞第1772号(2024年6月30日号)より
国が生活保護費を引き下げたことは違法とする訴訟で、六月十三日の東京地方裁判所判決を含め、地裁段階で原告勝訴が十八となりました。
国は、二〇一三年〜一五年、生活保護費のうち、食品や光熱費などの日常生活費にあたる「生活扶助」の基準額を最大一〇%引き下げ、約六百七十億円、戦後最大の削減を実施しました。
一二年の総選挙で当時の安倍政権が、生活保護費一〇%削減を公約に掲げたことによるものです。
四月二十二日の三重県津地裁の判決では、「自民党の選挙公約への忖度が背景にあったと推察される」と政治判断にも踏み込んだ判決内容が出されています。
東京地裁の判決は、削減の根拠とされた物価下落率(四・七%)を反映した「デフレ調整率」の算定方法が「受給世帯の消費構造を反映していない強い疑義がある」と指摘。
「テレビ等五品目」が過大に評価された結果、「下落率が過大に評価された」。厚労省の判断には裁量権の逸脱があり、生活保護法に反するとしました。
全国の二十九都道府県で提訴しています。
引き続き裁判を支援し「引き下げの処分取り消し」を実行させ、利用者の生活が保障される生活保護制度の実現を求めていきましょう。
物価高騰が続く中でも生活保護の利用者は約二百万人、捕捉率は二割程度。利用者の背後の数百万人の生活困窮者の生きる権利とくらしの保障をするのが国の責任です。
誰もが尊厳を持って扱われ、憲法の生存権が保障される制度になるよう運動をすすめていきましょう。