主張・見解
物価高騰対策は定額減税より消費税減税
婦民新聞第1771号(2024年6月20日号)より
岸田政権の肝いり政策、定額減税が六月から始まりました。
所得税と住民税を合わせて一人四万円を納税額から差し引くもので、減税対象者は約九千五百万人、減税規模は三兆二千八百四十億円。
内閣支持率上昇や選挙目当ての思惑が透けて見えます。
給与所得者の場合、六月の給与やボーナスから源泉徴収する所得税から減税額を差し引き、一回で差し引けない場合は次回以降の給与等から差し引きます。
住民税は六月分を一律にゼロ円とし、年間納税額から減税額を引いた額を十一等分して、来年五月までの十一か月間で徴収します。
また低所得者で、減税額が差し引けない場合は、減税しきれない額を一万円刻みで給付。
非課税世帯は一世帯七万円の現金給付とし、十八歳以下の子ども一人につき五万円を上乗せします。
問題なのは、この事務作業が複雑でわかりにくく、手間暇がかかることです。
減税額を給与明細に記載することを求め、世帯主の収入によって、「減税」「減税と給付」「給付」の三通りに分かれる複雑さから、事業主や自治体の過重負担になっていることです。
物価高騰が長引く中で、六月からは電気料金が値上がりし、国民の暮らしを直撃しています。
将来の希望が持てない中で、一回限りの定額減税では、消費に回るとは考えられません。
政府がやるべきことは、物価の安定と併せ、消費税の減税やインボイスの廃止です。
そして非正規雇用労働者も含めた、物価高を上回る大幅賃上げが効果的かつ即効性のある対策です。