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主張・見解

生活保護基準引き下げは違憲の判決を力に

婦民新聞第1766号(2024年4月20日号)より

 「生活保護基準引き下げは違憲」と訴えた裁判が全国でたたかわれています。

 厚生労働省は、二〇一三年八月から二〇一五年四月まで、生活保護基準を最大で一〇%、利用世帯の九六%に対して前代未聞の引き下げを行いました。

 背景には、自民党が二〇一二年十二月の衆議院選挙で「生活保護給付水準の一〇%引き下げ」を公約の一つに掲げていた経緯があります。

 厚生労働省は、独自に決めた物価指数の指標で電化製品などの価格が下落しているとし、テレビやパソコンなどをあまり買わない生活保護利用者にも、この物価下落を引き下げの根拠にしました。

 また物価下落の年度を恣意的に選択し算出するなど、自民党の選挙公約に追随しました。

 地裁判決は、現在原告の十五勝十一敗となっています。

 二月二十二日、三重県の津地方裁判所は原告の訴えを認め、「基準引き下げは裁量権の乱用、『生活保護費一〇%削減』という自民党の選挙公約に忖度し、『生活保護バッシング』に現れたような国民の不公平感などの醸成を背景に、たとえ専門的知見に反してでも政治的方針を実現しようとしたものとみるほかない。

 考慮すべきではない事項を考慮した」と引き下げの違法性を厳しく指摘しました。

 日本では、人口の一・六%しか生活保護を利用していません。必要な人の二割程度で残りの八割、数百万人が生活保護から漏れているのです。

 必要な人が当たり前の権利として利用しやすい制度にするためにも、裁判の意義は大きく、支援の輪を広げていきましょう。

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