主張・見解
福島第一原発の汚染水海洋放出は中止を
婦民新聞第1747号(2023年9月10日号)より
八月二十二日、岸田首相は関係閣僚会議を開き、ALPS処理水の海洋放出を八月二十四日から行うことを正式に決定しました。
ALPS処理水は、東京電力福島第一原発事故によって発生し続けている放射能汚染水のことで、「多核種除去設備」(ALPS)によって処理した後もトリチウムをはじめとした核物質が含まれています。
八年前、政府と東電は、漁業者らに対して「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との約束を交わしたにもかかわらず、約束を反故にして、当時の菅政権は「二三年春に海洋放出をする」と閣議決定しました。
岸田首相は八月二十一日に漁業関係者と面会し、漁業関係者が「海洋放出に反対であることはいささかも変わらない」と繰り返し述べたにもかかわらず、「廃炉には海洋放出は先送りできない課題」と海洋放出をゴリ押ししました。
地元漁業者を初め世論調査でも風評被害に懸念を持つとする意見が多数を占めています。世界からも反対の声が高まっています。
福島第一原発事故から十二年が経過した今も被害は続いています。
とりわけ農林水産業、観光業など生業を取り戻す懸命な努力が続けられているなかでの、海洋放出強行決定は、地元漁業者らの復興を阻害することで断じて許せません。
私たち婦人民主クラブは、ALPS処理水(汚染水)海洋放出の関係閣僚会議決定に断固抗議し、海洋放出を中止することを求めます。
二〇二三年八月二十三日
婦人民主クラブ