主張・見解
国会は言論の府として審議を尽くせ
婦民新聞第1742号(2023年7月10日号)より
第二一一通常国会は六月二十一日、幕を閉じました。
新聞各紙の社説には「審議の形骸化」「不誠実」「熟議なき大転換」などの見出しが並びました。
重要法案は、事前に政府と与党で意見調整が図られ、国会提出前に実質的審査を済ませて、もうすでに「手続きの場」と化している国会審議も数の力で次々可決され、政権の意のままという仕組みが一層強化されました。
政府提出成立法案は実に九七%に上りました。
敵基地攻撃能力保有というこれまで政府が「憲法の趣旨とするところではない」としてきた軍事政策の大転換が国民への説明もなく、わずかな審議で強行可決されたことは、その典型です。
さらに、重大事故の教訓を忘れたかのような原発回帰の「原発推進等五法」、国際社会から人権を問われる「入管・難民法」、性的少数者に対する差別と偏見を助長しかねない「LGBT理解増進法」等々、悪法の山を築き上げました。
トラブルが噴出し続けている「マイナンバー等一括法」も国民の不安を置き去りにしたまま、わずか十三時間の審議で衆院を通過させました。
岸田政権になって党首討論が一度も実施されていないことからも明らかなように、国民をないがしろにした姿勢は許せるものではありません。
岸田政権の支持率が下がり続けているのは当然です。
岸田政権を追い詰め、国権の最高機関、立法府の審議の空洞化を国民の側から正していくことが、今重要です。