主張・見解
マイナ法案審議は中止し、事態の解明を
婦民新聞第1739号(2023年6月10日号)より
健康保険証を廃止して、マイナンバーカードに一本化するというマイナンバー法など関連法改定案は、様々な欠陥や制度の矛盾が噴出しています。
二〇二一年十月からの十三か月間に、七千三百件余の誤登録があったことに始まり、マイナポイントの誤付与が九十自治体で百十三件。
マイナカードに他人口座の誤登録七自治体で十二件確認などなど、徹底調査をすれば、さらに増えることは明らかです。
マイナ保険証で別人の医療情報がひもづけられていた問題は、誤診や誤投薬など生命の危険にも波及しかねない、制度の根幹を揺るがす大問題です。
保険証が廃止されマイナカードが保険証になることで、保険証が申請主義になり、カードを取得しない人の資格確認書も申請が必要になります。
その結果、申請漏れ、申請遅れが生じ、無保険扱いにされ、皆保険制度が脅かされます。
従来の健康保険証は、国が全国民に対して医療を受ける権利を保障するために郵送で手元に届けるものです。
「制度の違うものを一つのカードにまとめるのは、法的にも実務的にも無理がある」とマイナンバー制度に詳しい清水勉弁護士は指摘します。
マイナカードの申請が困難な障がい者や性別・名前を表記したくない性的少数者らへの配慮も、まともに検討されていない欠陥法案の「先に普及ありき」での拙速審議は許されません。
法案審議は中止して、事態の徹底解明こそやるべきです。
いま、「保険証の廃止はやめて」と、様々な団体・個人が声を上げています。ともにがんばりましょう。