主張・見解
学術会議法改悪案提出を断念させよう
婦民新聞第1733号(2023年3月30日号)より
二月十六日、政府が今国会中の提出を狙う日本学術会議法「改正」案の概要が判明しました。政府が、「選考諮問委員会」を設置して会員選考に介入する、同会議の運営状況を検証する、政府等との問題意識、時間軸の共有を求めるなど、同会議の独立性を大きく損なう内容です。政府は昨年十二月に改定した「安保関連三文書」の「国家防衛戦略」に、「研究機関や学術界など、民生の先端技術を積極活用するための仕組みを構築する」と明記しています。
学術会議は、太平洋戦争で科学者が軍事研究に協力したことへの反省から、同会議法第三条に「独立して職務を行う」と定め、「戦争を目的とする科学研究には今後絶対に従わない」という声明を出して、以後七十数年、それを貫いています。その根底にあるのは、政治権力からの学問の独立を求める憲法第二三条「学問の自由」です。
二月十四日には学術会議の歴代会長五氏が、十九日には日本のノーベル賞受賞者八氏が、それぞれ連名で、学術会議の独立性を毀損し、法改定を伴う「改革」を「根本的に再考することを強く求める」声明を発表。学者、研究者、文化人などが、政府方針の撤回を求めて声をあげています。
二月二十七日、衆院予算委員会で、野党から「学術会議を政府の下請け機関にするつもりか」と厳しく批判され、今国会への改定案提出を断念するよう求められたのに対し、岸田総理は「今国会への提出をめざしているが、期限ありきではない」と述べています。
今こそ世論を大きく広げ、政府の改悪案提出を阻止しましょう。