主張・見解
医療切り捨ての「感染症法改定」案は撤回を
婦民新聞第1723号(2022年11月30日号)より
今国会で、「感染症法改定」案が審議されています。
法案の内容は、都道府県が感染症の予防計画を立て、医療機関と「協定」を結んで、病床や発熱外来などの確保をはかるというものです。
もしも医療機関が、正当な理由がないまま協定に沿った対応ができていなければ、勧告、指示、病院名の公表などの措置が講じられます。とりわけ大学病院などの「特定機能病院」や、「地域医療支援病院」には、診療報酬の加算が受けられなくなる指定取り消しの重い罰則が科せられます。
この間、歴代政権の医療費削減政策の中心が、病床数の削減におかれてきました。とくに多くの人手と高い診療報酬を必要とする急性期病床を他の病床機能に転換したり、過剰との判断で削減したりしてきました。急性期病床の削減により、看護師は大幅に少ない人数で足りるとされ、病院の再編などで医師も増やさない方針としました。コロナ禍による医療崩壊は起るべくして起ったと言えます。
厚生労働省の報告では、二〇二一年、コロナ禍のもとでも急性期病床などが二千七百七十床削減されました。医療機関には減床数に応じて、一床あたり百十四万〜二百二十八万円が支給され、その費用、五十七億九千万円の財源には全額、消費税が充てられています。社会保障の充実のためと増税した消費税を病床削減(社会保障の削減)に使うことは、国民に対する裏切りです。
政府の医療切り捨てをさらに拡大する改定案を撤回し、抜本的な解決策につながる医療人材の大幅な増員を求めていきましょう。