主張・見解
保育予算を大幅増額し豊かな保育環境を
婦民新聞第1722号(2022年11月20日号)より
十一月二十日は世界こどもの日。一九五四年、世界の子どもたちの相互理解と福祉の向上を目的として国連が制定した国際デーです。一番の願いは、いのちが大切にされること。しかし日本では安心して過ごせるはずの保育施設で、子どものいのちが失われる重大な事故が無くなりません。
九月の炎天下、三歳の女児が通園バスに取り残されて亡くなるという痛ましい事件が起きました。政府は緊急対策として来年四月から通園バスに安全装置の設置を義務化し、設置費用分を補助すると今年度の第二次補正予算案に盛り込みました。事件の起きた保育施設再開の理由は「マニュアルが改善されたから」というものでした。
このような対応で子どもの安全が守られるでしょうか。予想外の行動をするのが子どもです。子どものいのちを守り、充実した保育が叶うためには、一人ひとりの子どもに目が行き届く保育環境がなくてはなりません。
「保育士が一人増えれば子どもに『待っててね』と言わなくて済む。子どもの思いを受け止めてあげられる」。コロナ禍の対応でひっ迫した保育現場で頑張っている保育士の切実な声です。
四、五歳児三十人に一人という現行の保育士配置基準の改善は待ったなしです。政府は「子ども家庭庁」を設置し予算を倍増すると公言しています。ならばこそ子どもたちが豊かな保育環境で安心して成長できるよう保育予算を大幅に増額し、保育所等の環境・条件の抜本的な改善に踏み出すことを求めます。