主張・見解
広島宣言 (要旨)
婦民新聞第1714号(2022年8月10日・20日合併号)より
広島と長崎への原爆投下から七十七年。広島から、被爆者とともに世界に訴える―核兵器は、人間として死ぬことも人間らしく生きることも許さない「絶対悪の兵器」であり、使用も威嚇も断じて許してはならない。その危険を根絶するには、核兵器の完全廃絶以外にはない。
歴史上はじめて核兵器を違法化した核兵器禁止条約が発効し、支持と参加が広がり続けている。第一回締約国会議で採択されたウィーン宣言は「核抑止力」を厳しく批判した。ロシアの核兵器による威嚇で、「核抑止力」論がもはや成り立たず、他国を侵略・支配する手段であることも明白となった。「核抑止力」論をいまこそのりこえるときである。
第十回核不拡散条約(NPT)再検討会議がニューヨークで開かれている。NPTは核軍備撤廃の交渉を行う義務を定め、再検討会議では自国核兵器の完全撤廃の「明確な約束」などに合意してきた。核兵器国が条約の義務と合意を誠実に実行するよう強く求める。
日本には唯一の戦争被爆国の役割の発揮が強く求められている。日本政府に、核兵器禁止条約への支持、参加の表明を要求する。ロシアのウクライナ侵略は国連憲章違反であり、ロシア軍の撤退と一切の軍事行動をただちに停止するよう要求する。あらゆる紛争の外交的解決を求める。
憲法改定、大軍拡、「敵基地攻撃能力」の保有など、日米軍事同盟のもとでの「戦争する国」づくりに反対する。日本国民の運動が果たすべき役割は重要である。
ジェンダーの視点が核軍縮プロセス、反核平和運動においても重視されなければならない。戦争や軍拡に浪費される資源を人権と人間の尊厳を守るために振り向けさせることも急務である。
我々は以下の行動に立ち上がるようよびかける。「被爆者の証言や原爆パネル展などの活動の推進」「核保有国や『核の傘』の国々での条約参加を求める運動」「『平和の波』行動の成功」「諸国政府と市民社会の共同の発展」「反戦平和の運動との共同、原発ゼロ・気候危機の打開の運動等広範な運動との連帯」
我々は、被爆者とともに、そして未来を担う若い世代とともに、これらの行動の先頭に立つ決意を表明する。
二〇二二年八月六日
原水爆禁止2022年世界大会