主張・見解
運転資格ない柏崎刈羽原発の再稼働撤回を
婦民新聞第1674号(2021年4月30日・5月10日合併号)より
四月十四日、原子力規制委員会は、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で、テロ対策など核物質防護上の重大な不備があったとし、同原発で核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出しました。
同原発では、他人のIDカードを使った中央制御室への不正入室、侵入検知設備十五件の故障放置など、原発の安全と核セキュリティーを損なう深刻な事態が相次ぎました。
規制委は「組織的な管理機能が低下しており、核防護措置の有効性を長期にわたり適切に把握しておらず、重大な事態になりうる状況にあった」として、安全重要度を最悪レベルの「赤」と評価しました。今後はのべ二千時間の追加検査を行い、検査終了には一年以上かかるとみられます。
この事実上の運転禁止命令は、東電が原発を扱う資格も能力もないことが、改めて明らかになったことを示しています。
しかし行政処分としては最もレベルの高い「設置許可の取り消し」ではありません。再稼働への道を残したとの疑念があります。
東電は福島第一原発でも、地震による津波や停電などの対策を怠り甚大な被害を引き起こしました。最近も地震計が故障したまま放置されるなど、トラブルや不備を繰り返しています。
東電のトラブル多発、安全軽視の背景には、再稼働を急ぐ経営姿勢があります。福島第一原発の事故に伴う経費を、同原発の収益で捻出するためです。
しかしこのような事態を引き起こした東電の再稼働を認めることはできません。柏崎刈羽原発の再稼働は撤回するしかありません。