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主張・見解

生活保護基準引き下げは違法の勝利判決

婦民新聞第1670号(2021年3月20日号)より

 二月二十二日、大阪地方裁判所は、生活保護基準引き下げ処分を違法とする判決を言い渡しました。生活保護基準の裁判において地裁段階で勝利したのは、一九六〇年の「朝日訴訟」以来の歴史的な勝利判決です。昨年六月、名古屋地裁が「国の過誤はない」とした判決とは逆に「削減額の判断に誤りがあった」と国を批判しました。

 この裁判は厚生労働省が二〇一三年から三年間で生活保護費のうち食費や光熱費などに充てる「生活扶助」の基礎額最大一〇%の引き下げを強行したことから、全国二十九都道府県で千名近くの原告が訴えている集団訴訟です。

 判決が呈した疑問は、大きく二点。引き下げの名目とされた「デフレ調整」について、特異な物価上昇がおこった二〇〇八年と最も下がった二〇一一年を比較した点、第二は、その期間に大幅に下落したテレビ・ビデオ、パソコンなどを生活保護利用者があたかも一般家庭と同様に購入した前提で計算をした点とし、「客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠き、生活保護法に違反する」としました。

 「一〇%削減」は、一二年の衆議院選挙で政権復帰した自民党の選挙公約で、その大幅な削減の不合理さが改めて指摘されたことにもなりました。

 この判決は、コロナ禍で生活困窮に陥り、今まさに生活保護を申請しようかと迷っている人への大きな後押しになることでしょう。裁判は、高等裁判所に移りますが、引きつづき憲法二五条が活かされる判決を求めて運動を進めていきましょう。

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