主張・見解
迎春 憲法を礎にしたよりよい未来を
婦民新聞第1664号(2021年1月1日号)より
婦人民主クラブ会長 櫻井幸子
「うんとこしょ、どっこいしょ」小さな小さな力も集まれば大きなカブは抜ける。二〇二〇年十月、核兵器禁止条約批准国が五十か国に達したとき、私の脳裏に浮かんだのは誰もが知っている佐藤忠良描く「おおきなかぶ」の挿絵でした。
「数十年にわたる活動で多くの人が不可能だと言っていたことが達成された」ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のフィン事務局長は喜びを語ります。グテレス国連事務総長も完全廃絶に向け役割を果たすと宣言しました。条約は今年一月に発効され、世界の願いが実を結びます。核兵器廃絶の「新たな一章」が歩みだされる新年です。
一方、未だに苦難が続く東日本大震災、福島事故から十年の年でもあります。
新型コロナウイルスが地球上にパンデミックをもたらした昨年、各国は深刻な状況に陥りました。対応策には各国の政治姿勢が顕著に表れ、自公政権の無為無策のコロナ対応は国民の不安、生活の窮状、病院の逼迫を増大させるばかりです。
菅義偉内閣は、就任三か月で支持率も急落。それでも矢継ぎ早に国民敵視の姿勢を顕わにし、強権政治を推し進めています。
日本学術会議の新会員任命拒否はその始まりでした。一九三三年、国が行った言論、思想弾圧事件に滝川事件があります。かつて経済学者の藤本武は「(事件)は大きな戦争準備のための小手調べ」であったと書いています。学術会議に軍事研究を求める菅内閣の姿と重なります。この学術会議への政治介入を許すことは戦争への道、ファシズムへの道を許すことに繋がります。共同のたたかいを構築し、菅内閣は退陣に追い込まなくてはなりません。
婦人民主クラブは今年、創立七五周年を迎えます。「婦人の持っているあらゆる実行の能力、心情と理性を尽くして、今日の歴史の頁の上に平和をもたらすためにたたかってこそ人間の可能性が守られる(宮本百合子)」のです。
小さくとも、平和を願うたくさんの力で歴史の新たなページに、日本国憲法を礎にしたよりよい未来を書き込んでいけるよう力を尽くしましょう。