主張・見解
国際会議主催者声明(要旨)
婦民新聞第1652号(2020年8月10・20日合併号)より
広島・長崎の原爆投下から七十五年、核兵器は今なお全人類の脅威です。被爆者は長年、自らの体験を通じて、核兵器使用がもたらす非人道的な結末を訴えてきました。私たちはこの危険を一刻も早く根絶するために、ともに行動することを世界の人びとによびかけます。COVID―19パンデミックによって、世界ではすでに七十万人近くの人びとの命が奪われ、社会的弱者のあいだでの感染拡大が深刻化しています。自然環境の破壊、貧困と格差、医療・福祉の削減などを招いてきた政策が、厳しく問われています。私たちは、軍事力による国家の「安全保障」から、国民一人ひとりの命と安全、そして尊厳を最優先する政策への転換を強く求めます。グローバルな危機を解決するためには、国際的な協力が欠かせません。しかし大国は「自国優先主義」をふりかざし、対立を深めています。「抑止力」の名による核兵器への固執は、人類をさらなる危険にさらすものです。
核兵器廃絶を求める世界的流れは前進し、二〇一七年七月、核兵器禁止条約が成立しました。批准国は発効に必要な五十か国まで十か国と迫っています。二〇二〇年NPT再検討会議は延期されましたが、これまでの会議の合意を確認し、さらに前進しなければなりません。私たちは、各国が平等な立場で協力する世界、国連憲章がめざす平和の秩序を求めます。唯一の被爆国である日本政府の責任は重大です。すみやかに条約に参加するとともに、「核兵器のない世界」をめざす世界的流れの先頭に立つことを求めます。
私たちは以下の方向で運動にとりくむことをよびかけます。「被爆者の声を聴こう」「すべての国に核兵器禁止条約への参加を求める」「NPT再検討会議の合意と約束の実行を求める」「各国政府と市民社会との共同」「軍事費の削減、戦争被害者への補償など反戦・平和の運動との共同」「『平和の波』行動の成功」「広範な社会運動との連帯」。
「核兵器のない平和で公正な世界」の実現をめざして、国際的にも、各国でも、連帯と共同をさらに広げていきましょう。日本の運動は、被爆者、未来を担う若い世代とともに、この行動の先頭に立つ決意を表明するものです。
二〇二〇年八月二日
原水爆禁止世界大会実行委員会