主張・見解
人種差別を許さない社会を実現させよう
婦民新聞第1647号(2020年6月20日号)より
五月二十五日、米国ミネソタ州で起きた白人警察官の暴行による黒人男性殺害に対する抗議行動が、全米のみならず全世界に広がっています。人種差別を禁じた公民権法の制定から五十六年となります、米国の人種差別問題の根は深く、未だに差別の根絶は道半ばです。
トランプ大統領は差別に対して批判するどころか、抗議行動の制圧に米軍の投入も辞さないと、自国民に銃を向けようとさえしたのです。デモは六月初めには、全米五十州、六百五十を超える自治体に拡大しています。
「黒人の命は大切」のスローガンのもと、ほとんどの行動は平和的に行われています。米軍投入という大統領方針に共和党内からも批判が相次ぎ、国防長官さえもが反対を表明しました。大統領は平和的示威行動に根拠を失い、軍の派遣を取り下げました。さらに運動により、フロイドさんを殺害した警官四人は懲戒免職になるとともに起訴されました。
フロイドさんの弟は、米下院公聴会で「警察の暴行をなくす改革案」の可決を求め、「もう終わりにしてほしい」と訴えました。
各国が大規模な差別反対の抗議行動を続ける中、日本でも東京、大阪では、様々な国籍の人たち、若者たちを中心に「日本にも人種差別がある。他人ごとではない」とデモが行われました。
国連人種差別撤廃条約はすべての人種差別の根絶を謳っています。世界中で響き渡る差別反対の声に呼応し、私たちも人権を守るたたかいと位置づけて、連帯の行動を国内に広げて行きましょう。