主張・見解
種苗法「改定」法案を廃案にしましょう
婦民新聞第1646号(2020年6月10日号)より
種子・種苗は農業生産の基本的な資材です。種苗法は、農産物などの品種を育成した者の育成者権を保護するとともに、種子利用者である農業者の自家増殖(自家採種・株分けなどの栄養繁殖)を認めてきました。
今回の改定案は、多国籍企業を含む育成権者の権限を強める一方でこれまで農業者の自家増殖を認めてきた条項を削減することが中心となっています。
農業者からは、自家増殖が禁止されると地域や経営に適した品種の確保が困難になり、経費が増大になるなどの懸念が出ています。現在、出来の良い苗や種芋は自分で翌年植え付けることが当然のように行われていますが、これらの行為が許諾料を支払わなければ違反となるのです。この背景には、種子法廃止の議論で明らかになったように「種を制する者は農業・食料を制す」と多国籍企業が農産物の生産から流通までを掌中に入れる狙いがあるのです。
長年の農の営みの中で選抜されて現在に至っている種子は「地域のもの」と言われて来ました。国連が採択した「農民の権利宣言」十九条は、自家増殖を含め、種子を利用・保管・交換する権利を明確にしているのもこのためです。農民の育成権を奪う改定案に「私たちの食卓に直結する」と反対する世論は広がりを見せていますが、安倍内閣は今なお今国会での成立を狙っています。
種苗法「改定」法案は必ず廃案にし、小規模農家や農業労働者の権利を守り、食料自給率を大幅に上げる運動を大きくすすめていきましょう。