主張・見解
実効ある刑法改正で性暴力の根絶を
婦民新聞第1642号(2020年4月10日号)より
昨年四月十一日に始まったフラワーデモが一年目を迎えます。
昨年春、四件の性暴力裁判で無罪判決が出された事がきっかけでした。
性暴力の被害者たちが、東京と大阪で花を持って集まり、初めて声をあげました。
知らない大勢の人の前でつらい体験を話すという、当事者の勇気ある行動で、フラワーデモは全国各地に広まり、社会を、政治を動かす力になりました。
元TBS記者の性暴力を訴えた伊藤詩織さんの裁判では、十二月に、東京地裁で勝利判決が出されました。
また酔った女性への暴行、実の娘に対する性暴力で、地裁が無罪とした判決が、高裁で逆転有罪判決が出されるなど、大きく変わり始めています。
二〇一七年、百十年ぶりに刑法が大改正されました。性犯罪規定の法定刑の引き上げなどの改正はありましたが、性暴力が犯罪として成立するには、ただ単に「同意していない」というだけではなく、暴力や脅迫があり、被害者の抵抗が著しく困難な状態だった場合などの要件が残りました。
薬や酒で抵抗できない状態でも、実父や教師などという圧倒的に優位な存在からの暴力でも、「抵抗しなかった」という理由で、犯罪として認められません。
今年は改正法の三年目の見直しの年、性犯罪被害者らをメンバーとする検討会が三月末設置されました。
国民の感覚とかけ離れた刑法の実効ある改正が求められています。
意思に反した性交だと認識できれば処罰を可能にする「不同意性交等罪」の創設、「性的同意年齢(十三歳)」の引き上げなどが必要です。