主張・見解
新型インフルエンザ特措法発動は許さない
婦民新聞第1641号(2020年3月30日号)より
安倍政権は二〇一三年施行の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を、新型コロナウイルスに適用することを口実に、同法の「改定案」を三月十日に閣議決定。衆参両院合わせて、わずか三日の審議で三月十三日に可決・成立させました。
この採決には立憲民主党などの野党も賛成しました。 同法は内閣総理大臣を緊急対策本部長とし、その「緊急事態宣言」のもとで、都道府県知事による外出自粛要請、人が大勢集まる施設の使用制限、土地・建物の強制収用など、広範な人権制限を可能にするものです。
「指定公共機関」であるNHKに対しても、首相が「必要な指示」を行うことができるという規定があり、その内容や範囲に限定はありません。
この法の効力は二年とされていますが、一年ごとに手続きをすれば何度でも延長は可能です。
この法の最大の問題点は、基本的人権の制限に対して「必要最小限でなければならない」という「配慮規定」があるだけで、他に歯止めがないことです。
首相の独断で人権制限ができる仕組みであり、政府のやり方に法的根拠を与えることになります。
自民党が二〇一八年三月にまとめた改憲案には九条への自衛隊明記などと共に、緊急事態条項の創設が盛り込まれています。
改憲派は「コロナは緊急事態の一例であり、憲法改定の大きな実験台」「改憲議論のきっかけにすべき」などと述べています。
国民の不安につけ込んだ悪質な改憲策動とともに、「特措法」の発動を阻止する世論と運動を、大きく広げていきましょう。