主張・見解
政府は九条を持つ国にふさわしい平和外交を
婦民新聞第1635号(2020年1月20日号)より
二〇二〇年一月三日、トランプ米大統領の指示により、米軍がイラクのバグダッド空港で、イラン革命防衛隊・ソレイマニ司令官を空爆によって殺害しました。
国連憲章と国際法違反のこの攻撃を発端に、イラン情勢が緊迫の度を増しています。
国際世論の高まりの中、戦争の危機はひとまず回避されたかに見えますが、なお一触即発の危機は去っていません。
その緊迫する中東の地へ、一月十一日、海上自衛隊のP3C哨戒機二機が那覇航空基地(沖縄・那覇市)から飛び立っていきました。二月二日には同護衛艦「たかなみ」が出航、二月下旬には現地での活動を開始します。
派遣規模は哨戒機と護衛艦合わせて二百六十人程度といいます。
安倍政権は、昨年十二月二十七日に国会審議もなしに閣議決定した中東派兵を情勢の急激な変化にもかかわらず、強行したものです。
このことはトランプ米政権が呼びかけた「有志連合」への参加に事実上応えるものと言わざるを得ません。
そもそも、事の発端は、トランプ米大統領がイランの核合意から一方的に離脱したことによります。
共同通信の世論調査(十一、十二両日実施)によると、海上自衛隊の中東派兵について「反対」が五八・四%にのぼっています。
安倍政権は、自衛隊の中東派兵を直ちに中止し、憲法九条を持つ国にふさわしい平和外交に徹し、トランプ米大統領にイラン核合意への復帰をうながすべきです。
今こそ「戦争するな」の声を大きく上げていきましょう。