主張・見解
待機児童解消や保育の質確保優先を
婦民新聞第1614号(2019年5月20日号)より
安倍政権は、改定「子ども、子育て支援法」を五月十日、参院本会議で可決成立させました。
消費税率十%の増税を前提に幼児教育の「無償化」などを行うもの。十月一日から施行予定です。
「無償化」の対象は、認可保育所、幼稚園などを利用する三〜五歳の原則全世帯、〇〜二歳の住民税非課税世帯。認可外保育施設などの利用世帯は五年間、一定額の範囲で補助します。
園の基準を満たさない施設なども給付対象なので、「保育の質」が置き去りにされる危険もあります。「企業主導型」の普及頼みや企業のもうけ優先の方向は、安全・安心の保育を求める親の願いに反します。
また、保育料は収入に応じた段階的な設定で低所得世帯は既に減免されており、無償化による負担減は保育料が高額な中高所得者に偏ることになります。
まして財源となる消費税は低所得層も同様に負担するため、「不公平感が生じる」ことは否めません。
今求められることは「待ったなしの待機児童を解消するための認可保育園増設」「保育士の待遇改善で保育士不足、保育園不足の解消」「保育士・幼稚園教諭の配置基準を改善し、保育の質の確保」など切実な声に誠実に応えることです。
この法改定は、今後いっそうの保育環境の充実を求めるならば、さらなる消費税増税が迫られる道をつけてしまったことになります。
消費税に頼らずに、大企業・富裕層への応分の課税によって、すべての子どもに無償で良質な幼児教育・保育が行われるよう求めていきましょう。