主張・見解
国と東電は被災地の真の復興へ責任果たせ
婦民新聞第1609号(2019年3月10・20日号)より
三月十一日で東日本大震災から八年。東京電力福島第一原発の事故では、今も四万人を超える人々が避難生活を余儀なくされ、被災地の復興も進んでいません。
あまつさえ避難指示解除を理由に支援・賠償の打ち切りを進めるなど、許されることではありません。まして原子力発電をベースロード電源とし、再稼働へ突き進む国の方針を承服することはできません
福島第一原発事故後、政府、国会、東電、民間の四つの事故調査委員会が検証作業を行いましたが、いずれも二〇一二年に報告書を提出した後、活動の継続はありません。
その中で原発立地自治体が、独自に総合的な検証作業を進めていることは、日本で初めてのことと思われます。世界最大の出力を有する柏崎刈羽原発の立地県である新潟県では、二〇一七年、「福島原発事故の検証なしに、原発再稼働議論は始められない」という立場を一歩進め、「原子力安全管理に関する技術委員会」に加え、「原発事故が健康と生活に及ぼす影響の検証」と「万一原発事故が起こった場合の安全な避難方法の検証」と、委員会を三つとし、二〇一八年には、この検証を束ねる「検証総括委員会」もスタートさせました。
原発再稼働反対の世論が過半数を占めるもとで自民・公明推薦の現知事も「県独自の三つの検証を進める検証結果が示されない限り、再稼働は認められない」と表明しています。
国と東電は被災者が生活と生業を再建できるまでの責任を果たすべきです。そのためには国民の監視が必要です。世論と運動を広げていきましょう。