主張・見解
若者を戦場へ強制動員狙う安倍改憲
婦民新聞第1608号(2019年2月28日号)より
安倍晋三首相が憲法改定の新たな口実として、二月十日の自民党大会で自衛官募集に対する自治体の「協力拒否」を持ち出しています。
「(自衛隊の)新規隊員募集に対し、都道府県の六割以上が協力を拒否しているという悲しい実態がある。
地方自治体から要請されれば自衛隊は直ちに駆けつけ、命をかけて災害に立ち向かうにもかかわらずだ。
この状況を変えよう。憲法にしっかりと『自衛隊』と明記して、違憲論争に終止符を打とう」というもの。
首相はこれまで自衛隊を憲法に明記しても「何も変わらない」としてきました。しかし改憲によって自治体の「協力拒否」という「状況を変えよう」とは、つい本音が出たということでしょう。
しかも事実誤認があります。防衛省によると全国の市町村に対し、入隊適齢期の住民の名簿提出を要請、二〇一七年度では「名簿提出」が三六%、住民台帳の「閲覧による提供」を認めている自治体は約五三%、「未取得」は約一〇%に過ぎません。
市区町村のほぼすべてが隊員募集に協力しているというのが実態なのです。
安倍首相のこの「自衛官募集発言」は、極右改憲団体・日本会議系の改憲集会で配られたビラの内容をそのままなぞったもの。
自衛官募集に関連付けて九条改憲を唱える首相の主張は日本会議仕込みそのものでした。
安倍首相の九条改憲の狙いの一つは、自治体から若者の名簿を強制的に提出させるところにもあったのです。「徴兵制」にもつながりかねないこのような危険な策動を、決して許すわけにはいきません。