主張・見解
力を合わせ女性の人権が尊ばれる社会へ
婦民新聞第1598号(2018年11月10日号)より
今年のノーベル平和賞は戦時性暴力と闘うコンゴの婦人科医デ二・ムクヴェゲさんと、イラクのISによる性奴隷被害者ナディア・ムラドさんに授与されました。紛争下の性暴力根絶の意思を込めた画期的な出来事です。
性暴力告発の先駆けとなったのは一九九一年、日本軍「慰安婦」被害を告発した韓国の金学順さんでした。金さんに続いて韓国のみならず中国・東南アジア全域から続々と被害の名乗り出があり、以来日本軍「慰安婦」問題は国連でまた世界中で解決すべき問題としてクローズアップされ続けています。
この問題は一九九三年の「河野談話」で、事実の存在と日本国の責任を認め、解決に向かうかに思われましたが、これを否定する歴史修正主義者らに支えられた安倍政権の誕生・存続により、いま解決は遠のく一方です。
昨年アメリカで始まった#MeToo運動は世界中に広まり、今回のノーベル平和賞授賞の素地を作りました。日本でも伊藤詩織さんの告発に続き、今年、テレビ朝日記者が財務事務次官セクハラを告発しましたが、相手はいずれも権力筋の人間で、どちらが被害者かわからないような扱いを受けました。
性暴力・性差別・セクハラが重大な人権侵害であるという認識が、日本社会ではまだまだ希薄です。
しかしテレビ朝日記者の告発はマスコミで働く女性の奮起を促し、セクハラのない労働環境を求めるたたかいも始まっています。
私たちは、女性の人権が尊ばれる社会をつくるために力を合わせていこうではありませんか。