主張・見解
軍拡ではなく平和構築へ力を尽くす時
婦民新聞第1586号(2018年6月20日号)より
自民党は、政府が年末に策定する新しい「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」への提言をまとめ、安倍首相に申し入れました。日本の軍事費について、NATO(北大西洋条約機構)が対GDP(国内総生産)比二%の達成を目標にしていることを参考に一層の拡大を求めるものです。日本の二〇一八年度のGDP二%は十一兆二千八百六十億円になるとか。なんと二〇一八年度の軍事費五兆千九百十一億円の二倍超に当たる途方もない大軍拡要求です。
わが国の軍事費は、第二次安倍政権発足以来、六年連続の増額、一方、社会保障費は大幅に削減されてきました。下がり続ける年金、上がる介護費や医療費、高学費で学校に行けなくなる若者、増え続ける保育園の待機児童など、暮らしや教育に回されるべき税金が、軍事費に使われているのです。 提言には「わが国をとりまく安全保障環境は戦後最大の危機的情勢」とありますが、危機的状況をつくりだしているのは、安倍政権の憲法九条改変の策動や大軍拡ではありませんか。
さきに行われた米朝首脳会談の共同声明では「朝鮮半島における永続的で安定した平和体制構築への努力」が表明されました。このような中で米国に追従し、米国の言うがままに軍事費増強につき進む安倍政権、その目指す方向は、全くの時代錯誤と言わざるを得ません。日本政府は「戦争する国」への道ではなく、憲法九条をもつ国として、今こそ北東アジアの「平和体制構築」へ力を尽くすべき時です。