主張・見解
迎春 つなぐ手を幾重にも重ね憲法守る
婦民新聞第1572号(2018年1月1日号)より
昨年七月、「核兵器禁止条約」の国連採択に続き、運動をリードし、条約締結に尽力したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)にノーベル平和賞が贈られ、人類の理性の確かさを誇りをもって感じました。私もよく通る東京・渋谷駅の通路にむき出しで設置されている一枚の壁画があります。横幅三十メートルに及ぶ大画面のほぼ中央に巨大な骸骨が今まさに焼かれ、強烈な閃光と炎は画面全体を覆い、右下には木の葉のような小舟が漂っている。「明日の神話」と題されたこの絵は米国のビキニ環礁での核実験で被ばくした第五福竜丸を描いているのです。描いた岡本太郎は「原爆という事実は日本人全てが引き継がなければならない問題」と語っています。禁止条約採択に不参加の日本政府に突きつけたい言葉です。さらに岡本太郎は「(原爆を)乗り越えて未来を切り開いていこう」と人々に明日へ向けた行動を呼びかけています。
「明日を創る」というタイトルの記念誌を婦人民主クラブでは創立四十五周年の折に刊行しました。新聞で婦民結成の集まりを知り、焼け跡の瓦礫の街を歩き参加した話、先輩から渡された婦人民主新聞を車中で読んだ時の驚きと喜びなどが記され、感動が胸に満ちてきます。戦争という鉛色の空が青空へ、家制度に縛られていた女性たちは羽ばたく準備を始めた頃でした。一人ひとりが必要とする問題解決のために活動を始め、それら多くの先達の活動の積み重ねが創立七十二年の婦民や女性たちを支え、今日があることを実感しています。
婦民創立一年後に非戦を謳った日本国憲法が誕生、私たちは憲法を拠り所に運動を続けてきました。自公政権は運動の外堀を埋めながら、憲法改悪の発議を今年に狙い定めています。これまでも憲法は何度も改変の危機がありました。それを跳ね返してきたのは、戦争はさせないという人々の意思の力でした。人類の歴史を終わらせていいのか、地球を破壊していいのかと訴え続け、人々のつなぐ手をもっと広げ、幾重にも重ねていきましょう。これからの「明日を創る」ために私たちは今、日本国憲法を守ります。
婦人民主クラブ会長 櫻井幸子