主張・見解
安倍首相の改憲策動阻止へ力を尽くそう
婦民新聞第1556号(2017年6月30日号)より
安倍首相は、五月三日の改憲派集会へのビデオメッセージと、その後の国会審議で「九条一項、二項をそのまま残し、三項に自衛隊を明記する。二〇二〇年を新しい憲法が施行される年にしたい」との改憲案を明らかにしました。さらに進めて安倍首相は六月二十四日の神戸市内での講演で「来たるべき臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に自民党案を提出したい」と述べ、年内提出を目指す方針を表明しました。首相の憲法尊重擁護義務に反する重大な発言です。秘密保護法や安保法制、共謀罪などを次々に強行し、加えて今、明文改憲へひた走る異常さ。かつてない厳しい状況といわねばなりません。
憲法九条に自衛隊を書き込むことは単に自衛隊の存在を認めるというだけにとどまらず自衛隊の「存在」と「活動」を合憲化することになります。自衛隊の「存在」が合憲となれば、九条二項の「戦力の不保持」は抹殺され、「活動」が合憲化されれば「国の交戦権は、これを認めない」の条文も抹殺されます。第二項が抹殺されれば、戦争放棄を謳った第一項も、その機能を失います。安倍首相は「一項、二項を残すのだから、憲法上の制約は今まで通りだ」と現状と変わらないかような誤魔化し発言を振りまいていますが、三項で自衛隊が合憲化されれば九条の歯止め機能は一挙に消えてしまうのです。
今こそ私たちは一人ひとりが語り部となって、日本国憲法が平和のために果たしてきた役割を語り広め、安倍首相の無謀な改憲策動を阻止する世論作りに、力を尽くしていきましょう。