主張・見解
農業の自立性失わせる種子法廃止
婦民新聞第1552号(2017年5月10日・20日合併号)より
四月十四日、主要農産物種子法廃止法案(以下種子法)が、自民党、公明党、維新の会などの賛成で可決されました。
この法律は一九五二年、戦後の食糧不足のなかで、増産を図る目的で制定されました。すなわち米・麦・大豆などの主要作物の種子について、国・都道府県が普及すべき優良かつ奨励品種を指定し、種子のほ場・生産管理、新品種の育成、種子の生産・流通・管理等を行なうという内容です。つまり公的機関が種子について主導的役割を担ってきました。種子は、各地の気候や土壌、風土などに基づいて品種改良が積み重ねられてきた国民の財産です。
ところが昨年の十月、政府の「規制改革推進会議」が突然廃止を打ち出しました。理由は「民間企業が開発した品種で、奨励品種に指定された品種が無い」「都道府県と民間企業では競争条件が同等ではない」などで、つまり民間企業の種子産業への参入要求です。国内外の大手企業に主要種子市場が侵食されれば、日本の農家は主食である稲などの種子も国内外の種子企業から買うことになり、農業の自立性が失われます。
米国のトランプ大統領は、TPPからの離脱を決定し、「日米経済対話」で問題を展開しようとしています。そして日本が農産物の輸入を倍化し、自動車輸出を半減するように要求しているのです。種子法の廃止も米国の要求に応えたものでしょう。日本の主食を守り、農業・農家を守るためには、国連で明示された「種子の権利」を保障し食料主権を確立することが求められます。「安倍農政改革」をストップさせましょう。