主張・見解
「年金カット」法案はただちに廃案に
婦民新聞第1538号(2016年11月30日号)より
今、国会の焦点になっている「年金カット法案」(国民年金法改定案)は、高齢者の生活実態を無視した乱暴な法案です。物価が上がっても賃金が下がれば賃金に合わせて年金額を引き下げる考え方を徹底するもの。年金給付額の伸びを物価や賃金の上昇よりも低く抑える「マクロ経済スライド」の徹底・強化も加わり物価と賃金がどう変わろうが、際限ない削減ができる仕組みづくりをねらっています。自民党は「年金カット法案」を「将来年金確保法案」と呼び「世代間の公平を確保」とか「若い世代の年金水準確保」と売り込んでいますが、今後三十年近くにも及ぶマクロ経済スライドと年金カット法案で、若い世代も徹底的に抑制された年金しか受け取れなくなります。
その上安倍政権がすすめる社会保障費の「自然増削減」路線で医療・介護の保険料や利用料金も負担増が続き、高齢者の生存権をおびやかし、格差と貧困の拡大がますます進行します。
今、「年金切り下げ違憲訴訟」が四十二都道府県、四千六百三十七名の原告で行なわれています。長い間苦労して積み上げてきた年金が「特例水準解消」を理由に削減されたことは、「生存権」「財産権」の侵害にあたると婦民の会員・読者も各地で裁判を闘っています。この裁判は高齢者だけのものではなく、若者たちの非正規雇用や低賃金などの働かされ方を変えさせることを政府にせまる闘いでもあります。
政府が高齢者の声を真摯に受け止め、今回の「年金カット法案」を撤回するよう、廃案まで運動を強めていきましょう。