主張・見解
予算は真に被災者のくらし復興のために
婦民新聞第1521号(2016年5月10日・20日合併号)より
熊本地方の地震で亡くなられた方々、被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
避難所の様子を見て驚くのは、五年前の東日本大震災の時と何も変わっていないということです。堅い床に毛布一枚で横になる、そこを人が歩く、戸外におかれた仮設トイレは電灯もなく安全な使用ができない、温かい食事を何日もとれない、やむを得ず車中泊を続け、肺塞栓症をはじめ体調不良を引き起こす等々。近年自然大災害が頻発する日本で、五年前の教訓は発災直後の被害者の生命を守るための備えを平素からしておくことだった筈。しかし広域合併で進められた公務職員減らしで自治体は日常の業務にも事欠く中、いま起こっている非常時の実態です。
被災地では盗難も頻発。私たちはそれにも増して大がかりな「火事場泥棒」を許してはなりません。政府は救援物資を運ぶために運搬能力の高い自衛隊ヘリは四分の一しか稼働させず、危険で災害支援に最も不向きなオスプレイの出動を米軍に要請、六日間で十二機も動かしました。大災害の時は政府が迅速に動けるように緊急事態法が必要とも言います。ところが大災害時に自治体が安心して被災者救援活動に取り組める激甚災害の指定は、発災から十一日後でした。迅速に動けるかどうかは、緊急事態法の有無ではなく、国民のくらしを守る意志の有無にかかっているのです。
熊本地震対策の補正予算では、三・一一時のように住民のくらしをよそに不要な大規模工事に流用せず、真に被災者のくらしの復興のために使うことを求めます。