主張・見解
平和を勝ちとる決意をこめて 婦人民主クラブ会長 櫻井 幸子
婦民新聞第1519号(2016年4月10・20日合併号)より
本日は、婦人民主クラブ創立七十周年記念のレセプションに、各界を代表される皆様にお運びいただき、心から感謝申し上げます。お忙しい中をありがとうございます。
「八月十五日の正午から午後一時まで、日本中が森閑として声をのんでいる間に、歴史はその巨大な頁を音なくめくったのであった」これは一九四五年の敗戦の瞬間を描いた宮本百合子の小説『播州平野』のあまりにも有名な一節です。宮本百合子は婦人民主クラブ創始者の一人です。
音もなくめくられた前のページは、戦争、殺戮と弾圧、差別、そして庶民の悲しみや苦しみの詰まったページでした。平和を願い、人間らしい生活を求める女性たちは、婦人民主クラブの誕生を、どれほど喜びを持って迎えたことでしょう。一九四六年三月十六日、創立大会会場の共立講堂は女性たちの熱気があふれるばかりであったということです。
翌年に施行された日本国憲法は、私たちにとって大きなよりどころとなりました。しかし、平和への道、女性解放への道をめざすことは簡単なことではありませんでした。何度か婦人民主クラブは岐路に立たされることになりました。(中略)
今、安倍自公政権は秘密保護法、戦争法と国民弾圧の悪法を国民の大きな反対を押し切り次々とでっち上げています。さらに「在任中に明文改憲を」とぬけぬけと公言するに至っているのです。しかし、ここ数年来の運動の広がりは、平和、いのち、そして人権を守りたいと世代を超え、性別や小異を超えて大きな輪になって為政者に迫っています。
宮本百合子は「婦人民主クラブは再び戦争に巻き込まれないためには、真実の努力を惜しまず、平和を勝ち取る存在でなければならない」と述べています。まさに今、私たちはこの言葉をかみしめ、七十一年前にめくられたページが再び前のページに戻らないように、「平和を勝ち取る存在」として力を尽くしていかなければと決意を新たにしております。
このようにたくさんの方々に祝福され、七十周年を迎えられたことは何にも増して光栄なことであると共に、私たちへの叱咤激励でもあることを肝に銘じて、婦人民主クラブの新たな歴史を創り、綱領実現への一歩一歩を会員みんなで歩んでまいることをお誓い申し上げて、感謝の言葉とさせていただきます。
(主催者挨拶より)