主張・見解
許せない骨太方針の社会保障切り捨て
婦民新聞第1497号(2015年7月20日号)より
安倍政権は六月三十日、経済財政運営の基本方針である「骨太の方針2015」を閣議決定しました。「財政健全化」目標達成に向け、社会保障費の伸びを毎年三千億円から五千億円カット、社会保障費が国の財政の重荷になっているという考え方です。最大の標的が医療、介護。年金はすでにマクロ経済スライドを機能させ、支給額が自動的に下がる仕組みが作られていますが、医療介護にその仕組みがないことが不都合だというのです。
あらゆる手段を使って高齢者を公的医療・介護から遠ざける方向です。@要介護者の自己負担を引き上げる、A公的保険の適用範囲を縮小する、B病院のベッドを強制的に減らす、C医療・介護費が高い自治体に罰則を科すなどです。
安倍政権は今すでに「社会保障と税の一体改革」の名で医療・介護などの制度改悪を進めている最中です。この八月から介護保険利用者に対し、一定以上の収入(年金二百八十万円以上)がある場合は二割負担に。また施設入所の低所得者の負担を軽減する「補足給付」の申請に預金通帳の写しや残高照会承諾書の提出を義務付ける措置がとられるなど、制度開始以来の大改悪です。
さらに「骨太の方針」で前面に打ち出された社会保障の「産業化」は、大企業の儲けのために憲法で保障された国民の生命・くらしの安心・安全をないがしろにするもの。ましてこのような国民生活の犠牲の上に軍事費を増大し「戦争する国」へと突き進むなど許せることではありません。安倍政権の暴走にストップをの世論を広げていきましょう。