主張・見解
声明 テロを口実にした戦争への道を断固拒否
婦民新聞第1483号(2015年2月10日発行)より
人質にされていた二人の日本人が「イスラム国」(ISIL)により殺害されるというあまりに痛ましい結果となりました。この残忍な行為に対し怒りをもって抗議します。
今回の事件がこれまでと違うのは、日本の政府と国民が標的とされたことです。日本の歴代政府は憲法九条を空文化する政策を長年続け、さらに現安倍内閣は中東テロ集団と戦闘する有志連合の空爆を支持し、まきぞえになる中東の一般市民からも不信をもたれるようになっていました。そこに安倍首相が中東歴訪の中で「ISILとたたかう周辺各国に計二億ドルの支援をする」旨の演説など挑発的外交を展開したことが、「イスラム国」の敵対者と認定する口実を与えたとみられています。これは国民の命を危険にさらすものです。
安倍首相は自分の責任を棚に上げ、この事件を利用して防衛駐在官を増員したり、自衛隊を人質救助のため派遣できるようにしようとするなど、軍事対応を強めながら改憲論議をあおっています。
いま首相が頻繁に口にする「テロとの闘い」「テロに屈しない」は、ブッシュ米大統領がアフガン侵攻の口実に使った言葉でした。この戦争はテロ集団を増殖・拡散させただけでした。テロは武力で抑えることはできません。その根源にある社会の不公正をなくしてこそ根絶できるのです。これは憲法九条の平和主義に基づく施策により実現できるものであり、私たちは改憲に断固反対し、今こそ憲法を守るために全力をつくすものです。
婦人民主クラブ