主張・見解
福島原発汚染水対策は政府の全責任で
婦民新聞第1442号(2013年10月30日)より
福島第一原発の放射能汚染水の流出と汚染の拡散が、ますます深刻化しています。四月に地下水槽からの汚染水漏れが発覚、六月には建屋の海側の地下水汚染が、七月にはその汚染地下水が海に流れ出ていることが明らかになりました。そして八月には汚染水貯蔵タンクから推定三百dの汚染水が漏れていたことが判明、その後もタンク表面で高線量の箇所が次々と発見されました。漏れたタンク近くの地下水では、すでに汚染が確認されているといいます。
ところが安倍晋三首相は「汚染水の影響は完全にブロックされている」(二十二日、衆院予算委員会)と、従来からの発言を繰り返すばかりです。政府は九月三日、汚染水問題に関する「基本方針」を決定し、「国が前面に出て」「抜本的対策を講じる」と表明しました。しかし基本方針には、汚染の拡大を防ぐという目標はありません。放射能汚染水の海への流出が福島県民・漁業者を苦しめ、約十五万の人々が避難生活を余儀なくされているなど、福島原発事故は未だ収束とはほど遠い状態です。にもかかわらず安倍政権は、原発再稼働と海外輸出に躍起になっています。福島原発事故を過去のものとし、県民の安全・安心な暮らしへの願いを切り捨てることなど決して許せることではありません。
汚染水問題は、東京電力任せではなく政府の責任で、多くの英知と人材を集めて取り組む必要があります。安倍政権は原発の再稼働や輸出ではなく、汚染の拡大を止め、福島原発事故収束のためにこそ全力をあげるべきです。