主張・見解
国の責任で一日も早い過労死防止対策を
婦民新聞第1431号(2013年6月20日)より
過労死、過労自殺が増えています。厚生労働省によると過労死に関連する労災請求は二〇一一年度が前年度比約一二%増の八百九十八件。過労自殺関連の請求も約八%増千二百七十二件で過去最多となりました。
短時間労働者の増加で平均労働時間は短くなっているといいますが、いま正社員あるいはフルタイム労働者の働きすぎが問題視されています。なかでも問題なのは、若者の過労自殺の増加が目立つことです。正社員が絞り込まれ、採用抑制や厳選採用が続くなかで、新卒入社早々から十分な指導も受けないまま、本人の能力や体力を超える過大な仕事が与えられるためです。また酷い働かせ方をして乱暴に使い捨てる「ブラック企業」が横行、職場のいじめやパワーハラスメントが多発していることも、若者を自殺に追い込む一因として指摘されています。
過労死や過労自殺はまた、家族や友人たちにも深い傷跡をのこします。これ以上、働く者の命が粗末にされるようなことがあってはなりません。国連人権委員会が社会権規約の各国の実施状況を審査、長時間労働や過労死の実態に懸念を示し、日本政府に防止対策の強化を求める勧告を出しました。過重労働対策での国・企業の責務を明確にする必要があります。「全国過労死を考える家族の会」などの呼びかけで「過労死防止基本法制定実行委員会」がスタート、「過労死防止基本法」を議員立法で制定する動きが始まっています。婦民もとりくんでいる百万人署名も進み、超党派議員の賛同も広がっています。「ストップ!過労死」への早急な支援が求められます。