主張・見解
無謀極まりない大飯原発再稼働の中止を
婦民新聞第1398号(2012年6月10日発行)より
関西電力大飯原発(福井県おおい町)三、四号機再稼働への動きが急です。野田佳彦首相は五月三十日、関西広域連合(二府五県と二政令市)が事実上再稼働容認に転じる声明文を発表したのを受け、「福井県とおおい町の同意が得られれば、私の責任で判断する」とのべて、再稼働の最終判断へ一歩踏み込みました。さらに六月四日には細野豪志原発事故担当相を福井県に派遣、西川一誠知事の同意を促すなど、再稼働への環境づくりにひた走っています。
しかし、原発をめぐる状況をみれば、再稼働がいかに無謀なことかがわかります。事故から一年二か月を過ぎた今も、福島原発は事故原因究明も尽くせないほどの深刻な事態に陥っています。放射性物質流出の危険が続き、避難者は未だ十数万にのぼります。
それでもなお政府が再稼働しても安全だと強弁する根拠の一つにストレステスト(安全評価)があります。テストの業務が日立、東芝、三菱重工などの原子炉メーカーに受注されている実態はすでに明らかです。このような自作自演の体質が温存されたままの政府の「安全宣言」を私たちは受け入れるわけにはいきません。
しかも、いざ原発事故が起こった時に放射能がどう拡散されるのか、その予測もなく、避難計画もありません。まともな規制機関さえ、まだ決まっていないのです。国民の不信と不安は高まるばかりです。首相は無謀な再稼働という「政治判断」は直ちにやめ、一日も早く原発からの撤退を決断し、自然エネルギーへの転換をはかるべきです。