主張・見解
日本に軍事大国化迫る日米共同声明の危険
婦民新聞第1396号(2012年5月10日・20日発行)より
野田佳彦首相は四月二十九日、訪米してオバマ大統領と会談し、三十日に共同声明を発表しました。民主党政権になってから三年、三人目の首相が「政権交代しても日米同盟は変わりません」と報告に行ったようなものです。オバマ大統領も日本語で「キズナ」と語り、歓迎したと報道されています。発表された共同声明や関連文書も歴代自民党首相によるものと同様、「日米同盟はアジア太平洋地域における平和・繁栄・安全保障の礎」でありそのために「防衛協力のさらなる強化をめざす」とありますが、野田首相は「日米同盟は新たな高みに達した」と自画自賛しています。
日米安全保障条約は一九五一年講和条約と共に調印され、翌年発効してから六十年、日本の主権を奪い、政治・経済・社会を食い荒らす諸悪の根源になっています。安保条約は友好条約ではなく、当初から日米軍事同盟でした。
野田首相は日米同盟の「深化」を求め、在日米軍の再編見直しや日本の「動的防衛力」の強化などアメリカの世界戦略のままに従う姿勢です。自衛隊の即応力・機動力を重視し、米軍との共同軍事訓練を強化し、その共同訓練場の整備など財政面での莫大な支援まで合意しました。また、TPP(環太平洋連携協定)については国民の強い反対の前に参加表明を見送りましたが、野田首相は「考えは変わっていない」とし、協議を「引き続き」すすめることを約束しています。
独立国としてのき然とした外交のできない政府を持つ私たちが国の主権、国民の幸福を守るためには、たたかうしかありません。