主張・見解
再稼動ではなく、原発撤退へ政策転換を
婦民新聞第1394号(2012年4月20日発行)より
政府が原発の再稼動を急いでいます。昨年来続けてきたストレステストの報告を原子力安全委員会が確認すれば、政府はそのまま順次再稼動に入るつもりでした。しかし大飯原発のストレステストの確認に際し、同委員会委員長がこれをもって安全だとはいえないと明言したため、政府は新たな安全基準を作ることとし三日間で作成、関西電力はそれをクリアする工程表を三日後に提出、首相と関係閣僚はその日のうちにこれを「おおむね妥当」と発言、再稼動決定に向けて動いています。
新基準はすでに実施ずみの対策の他は、今後とるべき対策三十項目を列挙しているだけです。このまま稼動して、新基準の「今後とるべき対策」を実施する前に大地震・大津波に襲われれば、とりかえしのつかない事故につながりかねない代物です。そもそも福島第一原発の事故原因は、未だ解明できていないのです。
三月に策定された原発防災新指針案では原発五十`圏内を避難地域としていますが、安全協定の対象は立地自治体だけで、これ以外は同意の必要もありません。しかも事故の被害は五十`圏をはるかに超え、数百`も離れた海・山・空気が汚染され、収まるどころか日々拡散しています。福島の避難者の困窮を放置したまま、同じ事故をひき起こすおそれのある再稼動にふみきるとは、正気の沙汰とは思えません。
原子力を制御できず放射性廃棄物を無害化できない現在、原子力利用の実用化はすべきでありません。早急に自然エネルギーの開発・普及に方針転換すべきです。