主張・見解
自衛隊国民監視差止め訴訟に勝利判決
婦民新聞第1393号(2012年4月10日発行)より
婦民も支援してきた自衛隊の国民監視の差止めと損害賠償を求めた裁判で、仙台地裁は三月二十六日、国の違法を認める画期的な判決を言い渡しました。
この事件は二〇〇七年六月、共産党が陸上自衛隊の内部文書を国会で暴露したことにより、情報保全隊がイラク派兵反対などの市民運動の集会に入りこむなどして監視していたことが明らかになり、文書に記載のある個人や団体員百七名が同年十月、国を相手に監視活動の差止めと人権侵害に対する損害賠償を求めて提訴していたものです。
裁判の中で自衛隊は文書の作成や保管に関し一切認否せずノーコメントをきめこんだのに対し、判決は明確に自衛隊が作成し保管していたと認定し、その上で文書に氏名のある五人について氏名・職業・所属政党など思想信条に直結する個人情報を収集保管していたのは違法であると断じ、国に対し賠償命令を下しました。
一方残る百二名については請求を認めず、監視活動は人権侵害で違憲・違法であると差止めを求めたことについては、差止めるべき事柄を具体的に特定していないとして却下しました。
このように限定的ではありますが一部その違法性が認められたことは国の手をしばる上で大きな意義があります。情報保全隊は二〇〇九年再編強化されました。またいま、国が個人情報を一括管理するマイナンバー制や「特別秘密」を国民に知らせない秘密保全法などの制定の動きも強まっています。それらを葬る闘いの一つとして、控訴審勝利のため活動を強めていきましょう。